年3回実施される従来型の「英検」に加え、コンピューターで受験する「英検CBT(Computer Based Testing)」と「英検S-CBT」が登場し、受験できる機会が3倍になりました。
コンピュータ受験の長所と短所
コンピューター版も、問題の内容やレベルは従来のテストと変わりませんが、いくつか違いがあります。
長所
1. ４技能を1日で受験できる
従来の英検は1次試験と2次試験が別々の日に実施されますが、コンピューター版では４技能のテストを1日で終了できます。
2. 受験日の選択肢が多い
試験会場によりますが、月1回～週2回の頻度で実施されています。部活や行事と重なって受験を見送らなければならないといった事態が減りそうです。
また「英検」「英検CBT」「英検S-CBT」をフル活用すると、年間8回の受験が可能になるので、どうしてもスコアが必要なときは助かりますね。
3. 結果が早くわかる
従来の英検は一次試験から合格発表まで1か月半ほど要しますが、CBT・S-CBTでは1か月以内に結果が分かります。
4. 受験料が安い
従来型（紙バージョン）より1000円お得です。
短所
1. スピーキングテスト対策を早くから始める必要がある
従来型では、一次合格が判明してからスピーキング対策を本格化する人も多かったと思います。コンピュータ受験では、スピーキングも他の３スキルと並行して準備していく必要があります。
2. 試験問題を持ち帰れない
試験問題はコンピューターで表示されるので、当然ですが、持ち帰ることができません。また、会場で配布されるメモ用紙も試験後に回収されるので、試験後に自己採点ができません。
「英検CBT」と「英検S-CBT」
英検のコンピューター受験には「CBT」と「S-CBT」の2種類があるので申し込みのときは注意してください。2つ試験の最大の違いは、解答をパソコンにキーボードを使って入力する(CBT)か、解答用紙に鉛筆で記入する(S-CBT)かです。問題内容はどちらの場合もコンピュータ画面上に表示されます 。
ライティングをパソコンで作成するのに慣れている人にはCBT、手書きしたい人にはS-CBTが向いています。
初めて英検をコンピューターで受験する人へ
コンピュータ受験用の戦略を考えておく
従来型の試験では、テストの実施順が
【筆記】（リーディング・ライティング）→ 【リスニング】 なのに対し、
CBTやS-CBTでは
【スピーキング】 → 【リスニング】 → 【筆記】（リーディング・ライティング）です。
したがって、「筆記セクションを早めに終わらせて、リスニングの先読みに充てる」という戦略が使えません。また、私のように「音があると文字が読みにくい」という人は、ヘッドセットをしていると余計に先読みがしにくくなる可能性があります。
リスニングで選択肢の先読みをしたい場合は、各セクション冒頭の指示文を読み上げる時間を有効活用できるようにしておきましょう。
スピーキングがうまくいかなくても、引きずらない
テストの最初に実施されるスピーキングが思うようにいかず、気持ちが動揺してしまうかもしれません。そんなときも「気持ちを切り替えて、次のリスニングにのぞむ」と決めておきましょう。心理的な理由で実力が発揮できなくても機械はまったく同情してくれません。
ちなみに、スピーキングテストはヘッドセットを装着し解答を録音する吹込み式です。カメラは使用しないので、スピーキングの評価項目「アティテュード」は録音のみで判断されます。
なお、スピーキングの録音は、リスニング・リーディング・ライティング（一次試験）の合計が合格点に達した場合のみ採点されます。
「一次試験には合格したけど、二次試験に不合格」となった場合は、次回以降、1年以内に一次試験免除を申請できます。ただし、二次試験の受験は通常の英検（紙媒体）のみです。
かならず体験版で練習しておく
コンピュータ操作はシンプルですが、事前に操作を確認しておくと気持ちの余裕が生まれます。
スピーキングの際に2回まで質問を聞き直せる機能や、長文を読む際にパソコン上でペンやマーカーが使える機能など、コンピュータ試験特有の機能をじゅうぶん生かすためにも、かならず体験版を確認しておきましょう。
【英検2020 1 day S-CBT 体験版】https://www.eiken.or.jp/s-cbt/demo.html
おわりに
わたしたちが好むと好まざるとにかかわらず、世の中の流れは確実にコンピュータ受験になっていくと思われます。今後も何らかの英語の試験を受けていく可能性がある方は、英検CBTや英検S-CBTを試してみてください。新しいことに挑戦することで見えることもきっとあるはずです。
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